W202

「次はベンツにするでぇ」

グロリア4ドアHTの助手席にボクを乗せて、
喫茶店のモーニングに向かう途中に、親父は言った。
週末は、母親に寝坊させるために、
朝早くから起きているボクを親父は喫茶店へ、よく連れ出してくれた。

ボクが幼稚園の年長組の時に親父は亡くなったので、
親父との思い出は「おぼろげ」。
今の音楽のように、当時のボクは四六時中クルマの事ばかり。
グレーの車体に屋根を黒で革張りにしたグロリアで、
色々な処に連れて行ってくれた。グロリアの前には
ハコスカ4DrのGTRに乗ってる写真もあった。

クルマにさえ乗せていれば、ボクは超ゴキゲンだったから、
親としてみれば楽だったんだろう。
なので、会話も、主にクルマが中心。
「むこうから走ってるのは○×、次は△■・・・」と、前から来る車を順番に。
そういやぁ、日産の新車発表会に、よく連れていってもらった。

その親父が言った「ベンツにするでぇ」というのは、
彼の本音だったどうかは定かではない。
別に、ボクが無類のベンツ好きでもなかった(もちろん、スーパーカーブーム時代だ)ので、
ボクの為では無かっただろうし、"大阪的な"もしくは"やんちゃな"意味での"ベンツ"を
意味していたのかしれない。
時で言えば、W123が新車で買えた頃だったと思う。

やけに、その親父の「ベンツにするでぇ」という言葉に、
ニヤリとしてハンドルを操る親父の顔だけは鮮明に覚えている。

b0021026_22292310.jpg今年で9回目の車検を迎えたVY30。
全塗装をしたくて、
さらに12月には10回目の
車検を受ける予定だった。
全塗装+車検、
そしてエンジンやブッシュ関連
など気になる処を触ると
片手は飛ぶ計算になる。





ふとインターネットで、上物のW202を見てしまう。
W202最終型で限定仕様の走行が少なめのヤナセ物。販売店も家から近い。
まぁ、見ても、結局は今までのようにVY30の良さを再確認するだけか。
しかしながら、今回は違った。試乗をしてみる。このカチっとした感じは・・・。
BMWやVWなどのドイツ車には何度も乗った事があった。
でも何かが違う・・・圧倒的な囲まれた安心感。
一旦、保留にしてVY30で帰路に着く。が、やはり乗ってしまうと頭から離れない。

やたらめったら、やれシトロエンBXだ、CXだ、XMだ、プジョー504のお尻が愛らしい、
505は流石にピニンファリーナだ、405だったらM16だ、アルファなら最終FRの75で
決まりっしょ、、、ドイツ車なら、190Eの2.3-16じゃなぁ~い?もしくはW124のTEとかね~、、、
などと偉そうにココでも話している割に、自分が選んだクルマが、
結局、このW202とは、少し自分でも驚いているし、ある意味、ショックでもある。
どうぞ、ボクを知っている人は、大声で笑って罵っていただければ、と思う。

b0021026_22304012.jpg購入後、西へ東へ約600kmを走った。
なるほど、ベンツ乗りの人が
「とにかく乗ればわかる」
っては、こういう事か。
誰だ、どうせなら運転が
楽しいラテン車以外にない、
などと考えたヤツは?
(それは、ボクだ)






非力な2000ccが、これほど高速道路でカチッと安全に走行車線をキープし続けれるのは何だ?
街の交差点のカーブが、これほどスムーズに曲がれるのは何だ?
運転が全然疲れず、いつまでも運転したくなるのは何だ?
これが「小ベンツ」「すでに国産車と一緒」「ああ、奥様用のセカンドカーね」と言われて
バカにされながら、街に溢れていたクルマなのか?

その魅力と、コイツの主治医になってくれるだろう店の人と出逢えたのも、
何かの「縁」と「タイミング」なんだと思ってる。

国産の新車を買えるだけのお金を持ち合わせていないのは確か。
でも、クルマを乗る事自体が「eco」ではないのに、
eco減税を狙ってお徳に買った新車国産車より、
断然、このW202の方が「クルマらしい」「質感が良い」という事も確か。


・・・・・・・


先日、母親を乗せる機会があった。
「そういや、アンタ、、、パパも次はベンツや!って、言うとったなぁ?」と後席で笑う。

ボクがW202を選んだのは、親父のその言葉が頭の隅にあったからだろうか?
そういえば、親父の愛したグロリアの兄弟車であるセドリック(VY30)から
乗り換えだ、というのは少しこじ付けか。

ともかく、コイツ(W202)とは長い付き合いになりそうだ。
by shinyasta | 2010-10-26 22:47 | CAR


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